【学会参加】IEPC2025, Sep. 15-19 @London, UK

D3 の髙木です。今回、9/15-19 にロンドンで開催された、国際電気推進学会 39th International Electric Propulsion Conference (IEPC2025) に参加してきました。IEPCは、我々電気推進コミュニティにおける世界最大のカンファレンスです。どのような学会期間になったか、報告したいと思います!

▶︎ IEPC2025

今回のイギリスへの渡航は、3月に短期研究滞在でサウサンプトン大を訪れていましたので、それに引き続きでの、今年(2025年)2度目の渡航でした。今回もロシア上空回避のため、アラスカ、グリーンランド、アイスランドなど北極圏上空を経由したフライトとなり、フライト時間は、約14時間と非常に長い忍耐が求められます。さらに、British Airways の羽田到着が遅れ、2時間半の遅れがある中でのフライトになりました。ただ、フライト時間の遅延のおけげで、太陽が青白く光る白夜のような景色をみることができ、飛行機の中が青白い色や紫色に包まれる、非常に神秘的な体験をしました。

▶︎ 往路: 羽田 -> ヒースローのフライト。北極圏上空を通過しました。

飛行機の遅れもあり、ロンドン到着は9/14 (日) の夜中12時ごろでした。そこで、トラブルが発生しました。予約していたホテルが開いていない!扉がロックされていました。電話もメールも通じない。イギリスに着いて、ロンドンで一人宿無しになりました!笑 もしかしたら、結構ピンチな状況なのかもしれませんが、割と冷静に対応はできたのかなと思います。Airbnb を使って代わりになる近くの宿をその場で取りました。インペリアルカレッジすぐそばにある、バックパッカーの若者たちが集まるようなゲストハウスが空いていたので、手配しました。(ちゃんと個室です。)施設の使い方が少し難しかったですが、ちょうどそのゲストハウスに泊まっていた韓国出身の子が色々と詳しく教えてくれ、割と快適に過ごすことができました。Airbnb のアプリはよくできているので、パッと宿を取ることも場合によってはできてしまいます。深夜に、ロンドンで、宿が無い...という状況でも、割と冷静に対応ができたのも、3月に単身で1ヶ月間、イギリス・アメリカ・韓国と渡航したこともあり、少しは海外対応能力が上がっていたからかもしれません。

▶︎ 学会開催地: インペリアル・カレッジ・ロンドン

しかし、問題なのは、翌日以降も、もともと予約していた宿と全く連絡が取れない上、昼間でも入口が開いていないということでした。どういうことだ!扉は常に固く閉ざされていました。ノックをしても、チャイムを鳴らしても、郵便受け越しに声をかけても全く反応無し。メールも電話も繋がらない。渡航日前日までは、やりとりができていたにも関わらず...!これは、もう、どうしようもない...!

▶︎ チェックイントラブルに遭ったホテルの入り口。何度行っても扉には鍵がかかっている。

仕方が無いので、学会の滞在期間は、別のホテルを全て手配し直すことにしました。(最初に泊まったゲストハウスよりはもう少しだけ良いところに移動しました。)実は今回、旅行予約サイト「アゴダ」経由で宿を手配したのですが、まずそれが、まずかったのかと思います。念の為、渡航前にはホテルと直接やりとりをし、そのときには連絡が取れていたのですが...。最終的には、アゴダさんに掛け合い、何度かのやりとりをしたのち、全額返金はしてもらいました。

後学のために、今回の教訓を残しておこうと思います。海外に行く際には参考にしてみてください。もし、チェックイントラブルに陥ってしまったら...
  1. 証拠になりうるあらゆるものを記録しておくと後で役に立ちます。(ホテルの外観など。)

  2. 落ち着いて代替ホテルを手配。(当日でも割となんとかなります。)

  3. しっかり状況説明できればアゴダが全額保証してくれます。(ただし、かなり細かく状況を主張する必要がありました。)

  4. クレジットカード会社に連絡(今回、カード会社が「調査部による調査」なるものを実施してくださり、カード明細上「確定済み」の表示になっているものの、この状況を鑑み、引き落としを却下してくださりました。これが一番助かったので、まずは、カード会社に相談してみるのをおすすめします。)
そもそも、チェックイントラブルに合わないために...
  1. 24時間チェックインの明記を確認!
  2. 相場より、少しでも安い場合は,念入りに調査!
  3. Google map で評価を2重チェック!(後から確認したら、★1.8 で、クチコミもボロボロでした...。)
  4. やはり、アゴダの利用は避けるのが無難かもしれない。
というところかなと思います。普通に宿を取れば、みなさんは大丈夫と思いますが。

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気を取り直して、学会発表当日についてです。そのようなトラブルもなんとか乗り越え、発表も無事終えることができました。

少し発表内容を紹介すると(細かい具体的な内容なので、読み飛ばしてもらっても大丈夫です!)、今回の発表では、イオン液体内部のイオンダイナミクスがイオン放出量を決定づけることが明らかになりつつある中、イオン液体内の圧力勾配による輸送を変化させることによって、イオン放出量が確かに変化する実験的証拠を示し、支配的な物理要素を明確にするというものでした。精密な液体の圧力制御は困難ですが、トリチェリの水銀柱による大気圧測定実験に着想を得た実験系により、液体圧力の微細な制御を実現しました。今回の発表のような実験系の前例は無く、提案した実験系とそこから得られた結果は、研究コミュニティにおいて、一定のインパクトを与えることができたと考えています。今後の研究コミュニティの開発方針そのものを変えるような研究内容だと、個人的には思っているので、伝わる人には伝わったのではないかと思っています。また、今回得られた知見は、エンジン開発における工学上非常に重要な視点であると考えています。これまであまり注目されていなかった、精密な圧力制御というのが、イオン放出の制御において、かなり重要になってくると考えられます。他の研究者の発表を聴く中でも解明が求められている現象についての認識を深めることができました。

3月短期滞在研究を行った際に知り合った、サウサンプトン大、コーネル大、KAIST の学生・研究者の方々と再び会うことができたという点も、今回の学会参加を非常に良い時間にしてくれた要素だったように思います。昨年度の IEPC2024 と個人的に感じる学会の雰囲気が違いました。これは、知り合いが増えた分、IEPC2024 が「アウェイ」と感じましたが、今回の IEPC2025 は、ある程度「ホーム」と感じたからだと思います。世界中の研究者と交流できることはとても楽しいですね。

▶︎ 発表の様子(会場は、ICL の物理学講義室の一室。頭上に4枚のモニターとスクリーンが並ぶ初めて経験するタイプの会場で、とてもゴージャスでした。)

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最後に、今回のイギリス滞在で食べた美味しかったご飯ランキングを発表しておきます。1位: ビリヤニ(インド料理)、2位: ビャンビャン麺(中華)でした。世の中で言われているほど、イギリス料理は不味くはないですが(※3月にサウサンプトンで食べたチップアンドフィッシュはとても美味しかったです。)、イギリスで食べるなら、イギリス料理よりインド料理や中華が一番美味しいのでおすすめです。人口が多い分安定したどの場所でも安定したクオリティが実現されるということですかね。イギリス滞在中の物価の高さには苦労しました。イングリッシュブレックファーストを全力で食べると、7000円くらいしてしまいます。


1) ちなみに、ビリヤニというのは、カレーに似たインドの伝統料理です。カレーの高級バージョンのような感じで、調理工程も多く複雑です。食人口としては寿司よりも多いのだそう。たくさんの人に食べられているというのは、美味しいからなのだと思います。ちょうど最近見て非常に面白かった、日本で本気でビリヤニを作っている人の YouTube のリンクを貼っておきます。(URL: https://www.youtube.com/watch?v=yzWy83AnKGQ)


▶︎ イギリスでの食事。1位: ビリヤニ (インド料理) [上左]、2位: ビャンビャン麺 (中華) [上中]、イタリアン [上右]、ガラディナーの料理 [下左]、ガラディナーの様子 [下中]、毎朝食べたパン [右下]

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長くなりましたが、総じて、たくさんの研究者と交流し豊かな経験を積むことができる、非常に楽しい海外渡航となりました。